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川を眺めながら溜息を一つ。自分を慰める術を知らない。ここに来る事しか思い浮かばない。
周りに甘え過ぎだ。みんなが優し過ぎだ。
『明日から藩邸行くのやめよ……。』
サヤ達は優しくあぁ言ってくれたが,それはきっと自分が桂といい仲だからそう言うしかなかったんじゃないかと思う。
『家で大人しくしてたら小五郎さん怒らす事もないやろうし……。』
「……三津,俺は決めた。」 【改善脫髮】四招避開活髮療程陷阱,正確生髮! -
「え?何?」
繋いだ左手を辿って吉田の横顔を見上げた。
「俺は三津が振り向いてくれるのを待つつもりだったがやめる。
もう遠慮はしない。これ以上三津が泣いてるのを見たくない。」
真っ直ぐに前を見つめる吉田の横顔を三津は呆けた顔で見つめた。
「晋作でも三津を困らせる事があっても泣かすような真似はしない。俺だってそうだ。」
「泣くのは……私が泣き虫やからで……。」
「でも泣くのにはきっかけがあるだろ。そのきっかけを作ってんのは紛れもない桂さん。だから俺は桂さんを許さない。」
「違いますよ!そのきっかけを作ってるのは私で,だから悪いのは私なんです!」
三津はお願いだから桂の事を悪く言わないでと縋りたいた。
頑なに桂を庇う言葉に吉田は奥歯を噛みしめて悲痛な表情を浮かべた。
「……帰ろう。冷える。続きは家で話そう。」
吉田は半ば強引に三津の手を引いて家へ向かった。
「お茶淹れますね。」
家に戻って真っ先に台所へ行って湯を沸かした。
沸々と立ち始めた湯気を三津はぼーっと眺めていた。
「……寒い。」
背後から忍び寄った吉田は暖を取らせろと三津を抱きしめた。
「ひゃっ!もぉ……脅かさんといて下さい……。暖なら火鉢で……。」
振り向きざまに顔を上げれば唇に柔らかい感触。体はきつく締め付けられて逃してはもらえない。「んっ!んー!!」
三津はここで流されてはならんと必死に身を捩って抵抗した。
「……っそんなに嫌がらないでくれる?傷付くわ。」
唇を離した吉田はむっとして三津を見下ろした。
傷付くと言われ,うっ……と呻いてたじろぐ三津。
「吉田さんの事は嫌じゃないですけど……。」
「じゃあ好きになればいい。桂さんなんかやめて俺の方に来ればいい。もしかしたら俺の方が肌が合うかもしれない。一度試してみない?」
「……そんな事言う吉田さんは嫌いです。」
そんな軽い女になるつもりはない。私は好きな人としかしたくない。
「あぁ,悪かった。もっと情緒的に誘うべきだったね。今から俺と……。」
「違いますっ!そう言う事やなくてっ!もぉ……。」
堪らず顔を真っ赤にして言葉を遮った。
これじゃあ政変前の吉田に戻っただけじゃないか。また話が通じないと三津は膨れっ面で目を伏せた。
そんな三津を吉田は愛おしそうに見つめて喉を鳴らした。
「悪かったよ。三津の体も冷えてる。お茶飲んで温まろう。」
冷たい三津の頬を手のひらで包んだが吉田の手も指先まで冷え切っていた。
「冷たっ!火鉢にあたっとって下さい!すぐお茶淹れていきますから。」
吉田を居間に追いやって茶を用意した。
居間で二人で熱々のお茶を喉に通し,焼けるような熱さが落ちていくのを感じてようやく体温が蘇った。
「これ飲んだら戻るわ。」
湯呑みに口をつけながら目線は斜め下。畳を見つめながらそう言った。
「え?はい……分かりました。」
何かと理由を並べて居座るのかと思っていたから拍子抜け。だけど一人で反省しなければいけないからそれでいいんだと言い聞かせた。
ぼーっと一点を見つめながらお茶をすする三津に吉田は不安しか感じない。
「なぁ……お前本当に幸せか?」
「幸せですよ?小五郎さんの傍にいられて。」
それは心からそう思うと穏やかに笑った。
「あ!その目は疑ってますね?大丈夫ですよ。確かに最近は色々あったし,私の泣き虫が悪化してて心配かけてるんかもしらんけど大丈夫です。
今日もちゃんと謝って明日には持ち越さないようにしますから!」
だから大丈夫。その言葉を繰り返した。自分にもそう言い聞かせたかった。