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を受け入れる度胸だ

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を受け入れる度胸だ

を受け入れる度胸だ。此処を何処だと思っていやがる。この日ノ本で一番血生臭い京だ、泣く子も黙る壬生狼の住処だ。そのド真ん中でぼんやりされちゃあ迷惑なんだよ」

 

 淡々と、けれども嫌悪すら込められた口調で土方は話す。

 

「おい、歳……

 

 それを諌めるように近藤が口を開けば、活髮 渋々といったように土方は前を向いた。

 

 そうしているうちに切腹前の儀式が終わり、準備が整ったようである。

 

 

 刀を清めた介錯人がゆるりと歩いてくる。桜花は目の前で何が起こるのかと正座をした腿の上に置いた手を震わせた。

 

 すると、介錯人──沖田と一瞬目が合う。子ども達と無邪気に遊んでいた明るい青年は何処にも無く、一角の剣士の顔となっていた。

 

 

 罪状が読み上げられ、土方により切腹が申し付けられる。

 

 辺りはシン……と静まり、男は荒い息の後に覚悟を決めたように右から肌脱ぎをすると、目の前に置かれた短刀を手に取った。「う、ウオォォォ!!」

 

 そしてそれを雄叫びと共に左の腹へ突き立てる。苦悶の表情を浮かべながら、一気に右の腹へ引き回した。

 

……ッ」

 

 その凄惨とも言える光景に桜花は目を見開き、口元を覆う。ガタガタと手が震え、必死に押さえていなければ今にも叫んでしまいそうだった。

 

 

 八双に構えた沖田はグッと刀を握ると、振り下ろす。すると音も無く男の首は皮を一枚残して切り落とされた。

 

 血飛沫が舞い、白い敷布や着物を汚していく。

 

 

 そこへ検死役が駆け寄り、首を確認するなり土方の方へ向いて頷いた。

 

 それを見た土方は立ち上がると、数歩前に出る。

 

 

……見事な切腹だ。法度破りはいかんことだが、武士の最期はかくあるべきである。皆、よく目に焼き付けておくように」

 

 

 そう言い放てば、それを合図と言わんばかりに囲んでいた隊士達は散り散りに去っていった。

 

 

 土方は振り返ると、顔面蒼白になりつつ薄らと涙目になっている桜花を見下ろす。

 

……どうだ。これが切腹だ」

 

「う、」

 

 

 言葉を発そうとするものの、胃の奥からせり上げてくるものを感じ、桜花はよろよろと立ち上がり、前につんのめりながら走って前川邸から出て行った。

 

 

 そこへ腕を頭の後ろに組んだ藤堂がやってくる。

 

「あーあ、可哀想に。涙目だったじゃん。子どもには刺激が強かったんだって。土方さん、あまり苛めてやんなよ」

 

 桜花が走っていた方を見遣りながら、軽口を叩くように肩を竦めた。

 

 

……苛めた訳じゃねえよ。これで油断は命取りになると分かったろう。ああ言う生温い生き方をしてきたような奴にゃ、命のやり取りを見せるのが一番良いんだ」

 

「歳は優しいんだか、怖いんだか分からねえなァ」

 

 

 隣にいた近藤は豪快に口を開けて笑う。土方の肩を数回叩くと、そのまま去っていった。 一方で、八木邸の厠へ飛び込んだ桜花はそのまま胃の中の物をこれでもかと吐き戻した。

 

 その脳裏には先程の光景が何度も浮かんでは消える。外へ出ると暫く壁に凭れかかり、座り込んだ。額には玉のような脂汗が滲み、頬を伝って首筋へ流れ込む。

 

 見上げた先の空は青く、白い雲が揺蕩っていた。死んでしまえば、この穏やかで美しい景色は見られないのだ。

 

 

──私、何やっていたんだろう。

 

 

 

 そこへ洗濯物を手にしたマサが通りかかった。明らかに顔色を悪くした桜花を見付けるなり、目を丸くして驚く。

 

 

「お、桜花はん!どないしたん。顔が青いし、えらい汗どっせ」

 

 心配そうに眉を顰めるマサが桜花を覗き込んだ。その優しげな表情が視界に入るなり、目尻からは涙が零れる。唇を噛み、堪えようとするも幾筋も溢れた。

 

 

……ごめん、なさ、私…………

 

「何があったん?ん?言うてみて。取り敢えず、家ン中行こ」

 

 

 桜花はマサに背を支えられながら立ち上がると、促されるままに家の中へ入る。
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